みなさん、こんにちは
昨年末までは重機による除雪も3回しか入らず、今シーズンはお気楽に行けるかなと思っておりました。しかし3が日から降り始め、先月は「10年に一度の寒波」が「2回」も来る荒れた一月となりました。結局12~1月と通してみると、例年・・・それ以上の降雪で、昨年末までの思いが「ぬか喜び」になってしまいました。
先月5日から診療再開しましたが、見事に年が替わった途端当院ではインフルエンザA型からB型の患者さんが見えられました。中には年末にA型に罹患して、今度はB型という患者さんもいらっしゃいました。毎年のことですが、インフルエンザには「これ」がありますから、1シーズンで一度罹患したからと言って、ワクチンをしない理由にはなりません。次シーズンからどうぞお気を付けください。
さてワクチンについてですが、市区町村が主体となって実施する「定期接種」について、次年度から変更や追加になることがいくつか提示されていますので、今回の本稿では「定期接種について・・・来年度の予習」と題し、お話ししていきたいと思います。
1. RSウイルスに対する母子免疫ワクチン(アブリスボ®)
本ワクチンについては当カプリの2024.7.1・2025.6.1・2025.12.1でお話しいたしました。先の本稿では、本ワクチンの接種について「妊娠24週から36週までの間に0.5mlの筋肉注射を1回接種」とお話ししました。しかしその後の報告から、良好な抗体産生を考えると「妊娠28週から36週まで」ですが抗体産生まで2週間ほど要するのを考えると「妊娠28週から34週まで」に接種を済ませておくことが望ましいでしょう。またインフルエンザと異なり流行時期の推定が困難ですので、時期を問わず接種が好ましいと言われています。
2. インフルエンザワクチンの接種不適格者の一部除外
今まで接種してはいけない条件として「予防接種後2日以内に発熱のみられたもの、および全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したもの」がありましたが、次年度からこの項目が削除されることになりました。ちなみに、予防接種同士の間隔は注射生ワクチンと注射生ワクチンのみが27日以上の間隔をあける(最初のワクチンを接種した4週後の同曜日から接種可)こと以外、同日接種が可能となっています。
3. HPVワクチンの整理(2・4・9価→9価)
HPVワクチンにはHPVの遺伝子型から2価(サーバリックス®)・4価(ガーダシル®)および9価(シルガード9®)の3つがありますが、来年度以降2価および4価ワクチンが定期接種から除外され、9価ワクチンのみになります(ガーダシルは本年12月より販売中止になります。
4. 高齢者に対する肺炎球菌ワクチン(プレベナー®→ニューモパックス®))
今まで定期接種で接種されていた肺炎球菌ワクチンは23タイプをカバーするワクチン(PPSV23:プレベナー®)でしたが、次年度からは20タイプの肺炎球菌をカバーするワクチン(PCV20:ニューモパックス®)に変更になります。一見カバーする菌数が少ないものに変更になるのが疑問になると思われますが、後者の方に予防効果が高い結果が得られたことによります。
5. 高用量インフルエンザワクチンの採用(エフエルダ®)
従来の不活化インフルエンザワクチンの約4倍の抗原量を有する不活化ワクチンが定期接種に採用されました。従来0.5mlの皮下注射であったのが0.7mlの筋肉注射となります。薬剤情報では60歳以上とありますが、法的な定期接種の対象としては75歳以上となるようです。
記載してみると、全ワクチンとも児童より年上の方を対象にしているワクチンです。ワクチン接種、およびその管理は今まで乳幼児の「専権事項」といった感がありました。しかし予防医学の進展で昨今の帯状疱疹ワクチンのように大人も積極的に予防していくというスタンスになっています。すべての病気について言えることですが、「治療より予防」です。本稿が皆様の健康情報として、少しでもお役立ていただけると幸いです(2026.2.1)。
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みなさん、明けましておめでとうございます。
昨年末の前半は暖冬の恩恵?を享受していましたが、先月中旬には当地で東日本大震災以来の震度4をもたらした青森県東方沖地震が発災し、また年末には暖冬から一日で根雪になるような降雪もありました。天災や気候変動に直面した年末でしたが、年が明け今年は、今年こそは穏やかな一年になるよう願うところです。
さて年が明けて今年はオリンピック・イヤー、2年に一度で今年は冬季オリンピックが来月イタリア北部の都市ミラノとコルティナ・ダンペッツォで開催されます。寒さの中、熱い戦いが繰り広げられるのでしょうけど、オリンピック・イヤーは診療報酬の改定時期にもなっています。ご存じだとは思いますが、保険診療では初診・再診料、検査料、処置料、手術料等が細かく診療報酬という公定価格で決まっています。これは日本全国一律な価格で、2年ごとに見直されており、これを診療報酬改定といいます。ここ数年、デフレ脱却のための賃金上昇や原油高騰のための材料費の上昇等、支出が増えても診察費を施設ごと勝手に増やすことはできないので、以前の改訂でも各医療機関は非常に厳しい運営を強いられていました。しかし次年度の改訂で診療報酬はプラス3.09%と引き上げになりました(ただ薬価が0.87%引き下げなので実質プラス2.22%)。診療報酬が1%上がると医療費は約50億円の上昇になるので、今回の引き上げはここ数年前例のないほどの引き上げ幅になっています。
引き上げられた報酬によって人件費改善や医療DXの推進、地域医療体制の再構築が期待されています。一方引き上げた分の負担は、医療を受ける側にも応じていただくということで、【OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直し】【高額療養費制度の見直し】【高齢者の窓口負担の見直し】が提起されています。今回本稿では、そのなかの【OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直し】について、お話ししていきたいと思います。
みなさまもCMやポスターなどで【OTC】という単語は聞いたことがあると思います。OTCが付く単語には【OTC薬】と【OTC類似薬】の2つがあり、見かけは似ておりますが意味が異なります。【OTC薬】とは、over
the counter、すなわち調剤薬局のカウンターの外にある薬という意味で、。医師の処方箋がなくても薬局などで購入できる、かつては「市販薬」「家庭薬」「大衆薬」と呼ばれることもあった身近なお薬です。さらに【OTC薬】のうち医療用医薬品から市販薬に切り替えた(=スイッチした)ものが【スイッチOTC薬】と呼ばれています。【スイッチOTC薬】は医療用医薬品と成分が同じですので、薬剤師によるしっかりとした服薬サポートが大切です。効くためお財布にやさしい・・・だから薬局で【OTC薬】を買わず医療機関で【OTC類似薬】を出してもらう・・・そういうことで約1兆円相当の医療費が【OTC類似薬】に費やされているそうです。
そのため今度の診療報酬改定では医療機関で【OTC類似薬】の処方を受ける際は、薬剤料の25%を患者全額負担で残り3割を保険給付の方向になるとのことです。CM等でおなじみの痛み止めのロキソニン®や花粉症のアレグラ®など約1,100の【OTC類似薬】が対象となっています。このようにすることで薬局での【OTC薬】購入を促進し、以前の本稿でお話しした「セルフ=メディケーション」の風潮を高める狙いがあると考えます。でも果たしてスムーズに事が運ぶでしょうか?
例えば医療機関が処方するロキソニン®は単一成分ですが、【OTC薬】のロキソニン®には無水カフェインが含まれているものがあります。カフェインは脳血管を収縮させる作用があり発作時に脳血管が拡張する片頭痛には疼痛緩和効果があります。しかし常用が過ぎると効果が切れたときに脳血管が拡張しむしろ頭痛を惹起することになりかねません。すると薬の連用が長期に及び、人によっては胃潰瘍を惹起することにもなりかねません。産婦人科の領域ではオキナゾール®というカンジダ膣炎の膣錠も【OTC類似薬】の対象になっています。でも実際の外来では薬局で購入し膣錠を自己挿入はしたけど、挿入が浅くて全く治療になっていない方もいらっしゃいました。私たちが膣錠を挿入すると、薬剤料に加え挿入に際しての処置料を頂いております。処置料を別途算定するような薬剤を【OTC薬】の対象とすることに、一産婦人科医師としては不安が残ります。
このような患者さんと医師の不安感を解消する存在が、私は薬剤師さんだと思っています。ただ私の領域において、すべての薬剤師さんが膣錠の挿入を患者さんに適切に指導されているかどうかという問いに、私は回答することはできません。国として医療費抑制の一手法として「セルフ=メディケーション」を推進するのであれば、診療報酬での誘導だけではなく有効な人材活用も含め考えて頂きたいものです(2026.1.1)。
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