みなさん、あけましておめでとうございます
 2018年の戌年を迎えました。戌→犬といえば、本県は秋田犬のふるさとで、隣の大館市はまさしく秋田犬の本場でありますので、HPにもかわいい秋田犬の写真がたくさん掲載されています。また「戌」といえば「戌の日」が思い浮かぶのではないでしょうか?「戌の日に腹帯を巻くと安産にあやかれる」という言い伝えについては、既に2009年7月の本稿でお話ししておりますが、人と犬とのフレンドリーな関係や、多産をこなす犬の姿から出てきた言い伝えなのかもしれません。
犬はもちろんヒトを除く哺乳動物は四足で移動することから、乳房は常に重力方向に向いており、歩行のたびに乳房も振動・運動することになるので、それがマッサージ効果となって授乳期においては適度な状態を保つことができます。しかしヒトは二足歩行のため乳房全体が重力方向に向かうことがないため、歩行による乳房の動きも偏りがあることが伺われます。加えて下着等で乳房を固定することは、乳房全体の血液循環を滞らせかねないので、他の哺乳動物と比べ乳汁分泌が低下するリスクをはらんでいます。
 年始の本稿は正月のアイテムを契機で進めていくのが恒例となっております。今年は「おもち」に着眼してみました。1年でお正月ほどいろいろな食べ方でお餅を食する機会はないのではないでしょうか?お雑煮や磯部巻、きなこ餅や砂糖醤油・・・私も餅は大好きで昔は一度に切り餅16枚ほども食べたものですが、今は到底そこまでは食べられなくなりました・・・
 出産の時期に産婦の実家から送られる餅を「力餅」といいますが、県内の一部ではその「力餅」を産後に食べるとよいという言い伝えがあります。特に味噌汁に入れると、乳の出が良いといわれています。同様の「産後に餅を食べると乳の出が良い」という言い伝えが多くの地域にある一方、「おもちはおっぱいによくない」という話も聞きます。両極端な内容ですが、本当のところはどうなのでしょう。
 今も踏襲されていますが、本来餅というのはハレの日(祝いの日)に食するものです。本稿でもたびたびお話ししておりますように、昔はお産そのものが今とは比べ物にならない程命がけのものでした。さらにお産が終わっても「産後の肥立ちが悪く」、命を落とす女性が数多くおりました。なのでせめて産後に餅を振舞うことは、お産の労をねぎらう想いがあったと考えられます。加えて昔の人達は極めて質素な食生活でしたので、付加カロリーが要求される授乳婦さんにとって、お餅はもってこいの食材と言えましょう。しかし飽食の現代においては、敢えてお餅を食べなくとも十分な栄養状態にあるのは御存じのとおりです。お餅自体に乳汁分泌増加作用が証明されていない現在、産後だからといってカロリーの高いお餅を食べすぎる必要性がないことも事実と言えましょう。
 乳汁分泌をよくする食材として鯉がよく挙げられ、さらに県内では鮒も同様な効能のある食材として言われています。お餅同様、質素な食生活のなかで、淡水魚の鯉や鮒は貴重なタンパク源であり、またそれらの骨はカルシウム源として非常に重宝されたことでしょう。母乳に関してお餅と違う点は、中国の「本草綱目」という書の中に「乳汁を下し、腫を消す」、すなわち鯉は母乳分泌を上げ、乳房の腫れを取ると記されていることです。調理法としては鯉こくなどの汁物が良いといわれています。
 医学的には母乳は血液が原料であり、その分泌にはプロラクチンというホルモンが関与しています。確かに母乳分泌が劣るときには、ある種の胃薬を転用することでプロラクチン濃度が上昇し、その結果母乳分泌が改善を示します。でも母乳分泌を上げるのは、やはり赤ちゃんに吸ってもらうのが一番です。他の哺乳動物は餅も鯉も薬も使わず赤ちゃんに哺乳してもらって、母乳育児を確立しています。根気のいることですが、アイコンタクトしながら赤ちゃんによく吸ってもらうこと・・・これが母乳分泌促進の基本と言えましょう(2018.1.1)。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


院長のcapricciosa(気まぐれ)