9月に入りました

 人生の半分近くを海のない当地で過ごしていますが、もともとは海育ちだったため、子供の頃はお盆を過ぎると、「クラゲに刺される」だの、果ては「足を引っ張られて溺れる」だの、海に入るのを憚るような教えを幾度となく耳にしていました。しかし昨今はお盆を過ぎても海水浴してもおかしくないような日差しと気温です。でも日が陰るとかなり過ごしやすくはなってきました。まだ気温は高くても今月に入るとスタッドレス・タイヤや暖房機のCMが始まるのでしょうね・・・そう考えると気持ちも少しダウンしてしまいます。

 さて今月の本稿は、「9月に入りました」の一言から始まりました・・・意識してこの言葉から始めたのは、4月の本稿でもお話ししましたが、「子宮頸がん予防ワクチン(以下HPVワクチン)のキャッチアップ接種の初回を今月中に接種しなければ公費補助を受けられない」からです。復習になりますが「HPVワクチン定期接種の空白期間」を含む1997年度~2006年度生まれ(今年度高校3年生から27歳まで)の方に接種することをキャッチアップ接種といいます。多くが選択する9価ワクチンの場合、「初回と2か月後と、さらに初回から6か月後」の3回接種しますので、すべて公費で年度内に3回の接種を完遂するためには初回接種を9月末までに終えなければいけません。

 本稿でも幾度となくキャッチアップ接種についてアナウンスし、また本日までにローカルメディア・マスメディアの別なく対象年齢の方に向けて接種の呼びかけがされております。まだあと1か月ありますが、先月末時点での当院の接種状況について、4月に示した過去のデータと並べて以下に提示します(※20歳以上の割合は接種総数ではなくキャッチアップ人数を分母として算出しています)。

2024R6

2023R5

2022R4

2021R3

2020R2

総数(人)

48

38

46

40

20

内キャッチアップ

2654%)

1539%)

3576%)

615%)

1995%)

20歳以上

1973%)

533%)

1029%)

117%)

0


 あと1か月ありますが、半年度未満で既に今までの全年度総数以上になっており、キャッチアップ接種自体の割合はそう増加しておりませんが、キャッチアップ接種に占める20歳以上の接種者が今までになく増加しているのが一目でわかる結果になっています。

 でも人口比で見たらどうでしょうか?10年間の鹿角市におけるキャッチアップ接種の対象者は700人強ですので、当院では101人接種しているということは14.2%の接種率ということになります。この割合は2022年の秋田県のHPVワクチン定期接種率と比肩する値です。しかし20歳以上の対象者は470人程なので、当院で35人接種しているということは7.4%の接種率ということになり、全キャッチアップ接種率の半分ということになってしまします。確かにワクチンは当院だけで行っているわけではありません。しかし管轄内の産婦人科でワクチンを行っているのは当院だけですので、そう多くのかさ上げも見込めないと考えてしまいます。

 本格的に性的活動性が上がってくる20歳以上の接種率が、トータルで見ると未だ低い現状です。そして多分キャッチアップ接種への公的補助が終わってしまうと、10万円強の出費をしてでも接種を受けるという方はほぼ皆無になるのではと危惧しています。すでに接種を終えられた方も、また接種対象外の方も、キャッチアップ接種の対象年齢の方には、どうぞ一つ声掛けの程、よろしくお願いいたします(2024.9.1)。
※pdfアイコンをclickすると秋田県医師会作成のパンフに移行します。    

※HPVワクチンについての市町村窓口
鹿角市:すこやか子育て課 TEL 0186-30-0119
  https://www.city.kazuno.lg.jp/soshiki/ikiikikenko/1/gyomu/2/vaccination/8888.html
小坂町:福祉課まるごと支援班(保健センター) TEL 0186-29-3926

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院長のcapricciosa(気まぐれ)