今日から9月・・・今年もあと3分の一となりました。

 この時期毎年同じことを話している感じがしますが、「今年も例年にも増して暑い8月」でした。加えて少雨でしたので、さらに暑さの印象が強かった感じがします。長期予報では今月も暑さはしばらく続くとのことですので、「暑さ対策」は今しばらく手を抜けませんね。

 さて今月は下旬から「ラグビー・ワールドカップ」が本邦で開催されます。ラグビーは「紳士が行う最も野蛮なスポーツ」と異名があるほど激しいスポーツで、岩のような巨体をぶつかり合いながら敵陣に攻め込んでいく様は圧巻そのものです。日本代表も壮行試合ではよい成績を収めていますので、本大会でも期待が持てそうです。

 ラグビーをはじめ最近のアスリートをみますと、非常に体型が大きくなっている印象があります。アスリートに限らず最近の若い方々は皆そういう傾向ですよね。私が産婦人科医になりたての頃は赤ちゃんの平均出生体重は、男の子が3,300g、女の子が3,000gと覚えていました。しかし2010年の乳幼児身体発育調査によると、出生体重の平均は男の子が2,980g、女の子が2,910gと共に3Kgを切る事態となっています。日本では「小さく産んで大きく育てる」という言葉がありますが、私たちからみると全くもって同意できないことなのです。例えば2,000gの低出生体重児の赤ちゃんが、「32週で生まれた」のと「40週で生まれた」のでは、対応する私たちの心構えも全く異なります。32週で生まれたのであれば、それまでお母さんのおなかの中で順調に発育しての2,000gなので分娩週数が早かっただけで、出生後の対応も体重管理がメインとなります。しかし40週で生まれたのであれば、母体内での発育が停滞しての出生ということになります。その上へその緒や胎盤といった赤ちゃん以外の付属物に小さくなる原因が認めなければ、体重管理に加え小さく産まれた原因検索もしなければいけませんし、ストレス耐性も低いので慎重に新生児管理をしていかなくてはいけません。

 さらに成長曲線より小さめに生まれた赤ちゃんのその後を追ってみると、正常域で生まれた赤ちゃんのその後と比べ、心疾患や高血圧症、糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病の発症率が高めという研究結果が出ています。言い換えると「健康や疾病は胎芽(胎児の前)・胎児・新生児期に決まる」という考え方です。これを「DoHaD説(Developmental Origins of Health and Disease)」といい、平均寿命が延長して生活習慣病対策が高まっている現在、非常に注目されている理論です。

 このDoHaD説を踏まえ、赤ちゃんを身ごもる前から、赤ちゃんの健やかな発育を促す準備をする取り組みがあります。これを「プレコンシャス・ケア」といいます。日本語では「プレ(=前)+コンシャス(=身ごもる)・ケア(=いわたる)」となり、「プレ妊活」というのでしょうか、今まだ妊娠を考えていない女性も実践願いたい内容で、私としては成熟期の女性はもちろん、初潮を迎えた思春期の女の子も心掛けていただきたいと思っています。

 プレコンシャス・ケアの要は「健康な生活習慣を身につけること」そして「それを維持していくこと」にあります。あまりにも当たり前のことで拍子抜けした方もいらっしゃると思います。しかし酒・煙草といった嗜好品をたしなむ女性が昔に比べ増加したこと、欠食や偏食といった食習慣の乱れが目に付くことは、皆さんも納得していただけるのではないでしょうか。そして一番重要なことは食習慣の乱れのもととなっている「痩身願望からくる誤ったボディーイメージ」です。皆さんはBMIという言葉を聞いたことがありませんか?BMIとはBody Mass Indexの略で、体重(Kg)を身長(m)で2回割った時の値で「やせ」と「肥満」の指標となっています。BMIが18.5から25までが「ふつう」であり、特にBMI=22の時の体重を「健康体重」といい、ご存じない方もいらっしゃると思いますが、健康体重の80%以上を「妊娠許可基準」としているのです。

 「やせが固定化」すると高度の月経不順を招き、子宮そのものの伸展性が低下して小さくなる(萎縮する)恐れもあります。体積の小さい子宮からは小さい赤ちゃんが生まれるということはヒツジの研究からもわかっています。「痩身は美」かもしれませんが「美=女性の健康」とは言えないことも理解して頂きたいと思います(2019.9.1)。


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院長のcapricciosa(気まぐれ)