いよいよ東京五輪が開催されました

 ・・・といっても、これを書いている今はまだ開会式の数日前です。個人的にここ最近は通常診療に加え、ワクチンの集団接種や在宅当番医など、なかなか一息つける時間が取れないので、早くからカプリに取り組んでおります。4回目の緊急事態宣言のなか、開会式直前までいろいろ「けちのついた」五輪でしたが、滞りなく進行しているのでしょうか・・・?今日という未来を過去から心配しています。。。

 さて、先日深夜番組を視ていましたら、道行く人がヘッドホンで聴いているコンテンツは、若者は音楽で高齢者はラジオ番組とのことでした。私も日々のウォーキングの際に耳にしているものは、前まではお気に入りの音楽でしたが、最近は専らラジオ番組になってしまいました。ウォーキングではラジオ1個でも荷物になるところですが、スマホのアプリを利用して某国営放送のニュースか、プロ野球ナイターを聴取しながら歩いています(でもオレンジ色の球団が優勢になると、自然と番組を変えてしまっています・・・)。

 偶然ある番組を聴取していましたら、興味ある書評に出くわしましたので、本日はそれを紹介したいと思います。それは澤田智洋さんの「マイノリティ デザイン」という本です。私もまだ読み込んでいないので、あくまでもラジオの受け売りになるところをご容赦ください。澤田さんの本業はコピーライターなのですが、ある個人的な理由で多数の目が不自由な方々へインタビューを行ったときに、「我々は道路を渡るとき、「勘と度胸」でわたっています」という意見に目が留まりました。バリアフリーと声高に言われている現在でも、目の不自由な方が横断する際にはまだまだ満足な音声補助はないようです。その意見をもとに澤田さんは旧知の企業に声がけして、目の不自由な人の肩に乗るようなリモートカメラを開発しました。最近の流れではカメラで得た情報はAIで解析してそれを目の不自由な人にリターン・バックする・・・と考えがちですが、澤田さんはそれらの「画像情報」を「目は見えるけど肢体が不自由な人」に届くようにして、目の不自由な人の「目」になっていただくというシステムを開発しました。目の不自由な人は話し言葉的な音声により視覚情報が得られ、また肢体が不自由な人は居ながらにして外のリアルタイムな情景を見ることができるのです。澤田さんはこのシステムを「ボディーシェアリングロボット NIN_NIN」と名付け、視覚機能と運動機能のそれぞれの機能を分け合い補うことにより、お互いにWin-Winの関係が成立すると説明しています。そしてまた澤田さんは社会的にマイナーと考えられているところに、可能性の種があるのではないか・・・と書籍の中で示唆しておられました。

 先月中旬に日本医学会は条件付きではありますが、「子宮移植」を認める報告書をまとめました。その条件とは先天的に子宮と膣が欠損している「ロキタンスキー症候群」の患者さんで、子宮を提供するドナーには提供する自由意志が確保されていること、自発的な無償提供であることなどが求められています。その背景には現状の脳死移植臓器には子宮は含まれておらず、すべて生体ドナーにならざるを得ないため、ドナー自身のモチベーションが非常に重要となるのです。また運よくドナーが見つかり子宮移植を受けても、術後は免疫抑制剤を投与し、拒絶反応が見られないことを確認したうえで妊娠を計画する必要があります。そして体外受精により妊娠が成立して最終的に帝王切開で出産した後は、移植子宮はそのまま残さず摘出することとなります。

 この子宮移植の話題が出る前、生殖医療で物議を醸していたのは「精子バンク」の問題でした。精子が高額で個人売買されていたり、ドナーの国籍にミスがあったり、出生した児の出自を知る権利が不確定であったり、未解決の問題が今も山積しています。「生殖医療におけるボディーシェアリング」・・・それは「精子バンク」なのか、「代理出産における借り腹surrogate mother」なのか、またもう使わない子宮だからsingle useでもいいので、必要な方に役立ってもらう「子宮移植」なのか・・・? 当事者から見たWin-Winの関係が第三者の目から見ても成り立つものなのか・・・私たちは今後も更なる議論を深めていかなければならないのではないでしょうか?(2021.8.1)


院長のcapricciosa(気まぐれ)
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