お暑うございます。

 私の住む鹿角は、先月の梅雨時期は梅雨らしい天候でしたが、中四国や近畿は西日本豪雨によって多大な被害がもたらされました。亡くなられた方は200人を超え、平成で最悪の水害となってしまいました。広島では2年前にも豪雨災害があり、また先々月には大阪北部を中心とした直下型地震もありました。西日本が多くの不安を抱えていることに、心からお見舞い申し上げます。現在は復旧の最中でしょうが、例年には比べようもない猛暑です。くれぐれも熱中症にご注意ください。

 さて先日医療系サイトを眺めていましたら、興味ある報告がありました。それは「マリンスポーツ~特にサーフィン経験者に納豆アレルギーが多い」というものです。納豆に含まれるポリガンマグルタミン酸(PGA)という物質が、海中に生息するクラゲなどの刺胞動物も産生するため、クラゲに刺される機会の多い?サーファーには納豆アレルギーが多いとの考察です。興味深い話ではありますが、程度によっては生命危機にも及ぶため、真剣に対応しないといけません。

 とはいえ納豆は非常にポピュラーな食材であり、私も必ず1日1回は納豆を食しています。一説には秋田は納豆発祥の地とも言われ、他県に比べ小粒納豆の消費量が多いとも聞きます。原材料は大豆で古来より食されているものですので、納豆に関してはあまり悪い話を聞きません。そんな納豆を今回、産婦人科の側面から見てみたいと思います。

 最初に妊娠初期での納豆ですが、食物繊維や各種ビタミンが豊富なので、妊娠中に摂取する食品としては、ふさわしい食品といえましょう。ネット等で検索すると大豆に含まれるイソフラボンについて言及しているのが多く見受けられます。大豆イソフラボンは女性ホルモンに似た効果を有するといわれており、それを含有したサプリメントが市場にあることもご存知の方も多いと思います。1日の摂取の目安としては75mg以下ということで、納豆でいうと2パック程度となります。ただ最近、大豆イソフラボンのうち「エクオール」という成分が女性ホルモンのエストロゲンと構造が似ており、女性に効用のある大豆イソフラボンの本体と考えられ、更年期障害を緩和するサプリメントとして販売されています。更年期女性のエクオール摂取の目安は10mg・・・これは納豆1パック分に相当しますが、日本人の約半分は大豆イソフラボンからエクオールを腸内で作ることができないことが報告されています。確かに妊娠初期の女性ホルモン剤の摂取は赤ちゃんの生殖器の発達にトラブルを招きかねませんが、納豆からのエクオールの摂取を考えると、「納豆にご飯をかける」ような大食いではなく常識範囲の(?)量であれば問題ないでしょう。

 次に妊娠後期の妊婦さんと納豆ですが、食物繊維や納豆菌の働きで腸管運動を促進したり、腸内細菌叢を整えたりすることで、便通の改善に働きます。また妊娠高血圧症候群の予防効果があるとも言われてはいますが、納豆を頻繁に食べることで、塩分の取りすぎになる恐れもあります。そうなるとせっかくの予防効果も台無しです。塩分の取りすぎに加え、大豆は良質なたんぱく源であるがゆえ、カロリーもそれなりにあります。私が毎日食べている40gの納豆1パックで約200Kcalですから、ごはん100gの170kcalより多くなります。妊娠中の体重過多も妊娠高血圧症候群のリスク因子ですので、納豆ごはんの時は小鉢のおかず一品を減らすぐらいのカロリー調整が望ましいでしょう。また産後に納豆を多く食べているお母さんの母乳で育てられている赤ちゃんには、ビタミンK欠乏性出血症の発症も少ないという報告もあります。

 最後に婦人科領域としては、更年期症状を緩和するサプリメントであるエクオールや、骨粗鬆症の治療薬にもなっているビタミンKも豊富に含まれています。また納豆菌による発酵過程で産生される「ナットウキナーゼ」という酵素は血栓溶解作用を有することから、「血液サラサラ効果がある」などともいわれています。でもまだ実験室レベルの報告が多数ですので、人体への効果についてはもう少し待つことになりそうです。以上納豆はいいことばかりですが、ワーファリンという抗血液凝固剤を服用されている方は、豊富なビタミンKが仇となってワーファリンの作用を弱めますので注意が必要です(2018.8.1)。




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院長のcapricciosa(気まぐれ)