8月葉月です

 旧暦の「葉月」は、木の葉が紅葉して落ちる月「葉落ち月」、稲の穂が張る「穂張り月(ほはりづき)」からきているといわれていますが、外を見渡すとまったくもってしっくりきません。温暖化の影響で南極では海氷面積の最小記録を更新し、またグリーンランドからは氷床崩壊のニュースが入っています。温暖化と電力供給の低下に対し省エネを目指しても、今度は熱中症のリスクを上昇させます。まさに「前門の虎、後門の狼」の状態で、もう何時までも手をこまねいている場合ではなさそうです。

 さて先月中旬以降、COVID-19は本格的に第7波に突入しました。目を見張るのは、今までの流行並みに比べ並みのすそ野が狭くて波高・・・つまりあっという間にかなりの数の感染者が出ているということです。昨年のデルタ株の流行時と比較し、重症病床数に切迫感は出ていませんが、母集団が大きいと当然安心はできません。感染者数の急増から、保健所も従来通りの濃厚接触者の追跡は困難となり、軽症感染者は自宅療養、濃厚接触者の観察期間も短縮化・・・となると、もともとのウイルスの伝搬力が強いですから感染者数の急増は火を見るより明らかです。では4回目のワクチン接種を!・・・となりまして、私も適応があり4回目の接種を行いました。接種後発熱以外の症状はなかった(注射部の痛みはあったんでしょうけど、服薬のためはっきりしませんでした)のですが、39.2度まで熱発し自宅療養でフォローしていたCOVID-19の患者さんと「どっこいどっこい」でした(むしろ私の方が熱は高く服薬回数も多かった)。「隣の垣根・・・」じゃありませんが、「ワクチンを接種した方がどうして・・・」とも感じてしましました。

 そうこうCOVID-19に振り回されていると、背後から「第2の刺客」が襲い掛かってきます。そう・・・「インフルエンザ」です!昨年、一昨年はCOVID-19の流行がメインで、インフルエンザについては無視できるほどの患者数でした。しかし今シーズンはそうはいかない・・・柳の下にはそう何匹もドジョウはいるわけではなさそうです。そこで今月の本稿は「2022シーズンのインフルエンザ」についてお話していきます。

 2010.11月の本稿でもお話ししましたが、現在のインフルエンザワクチンは3価ワクチンといい、インフルエンザウイルスのA型・B型といった「株」の3種に効果があるワクチンで、通常「季節性A型」「季節性B型」「新型インフルA型」の3株について作成しますが、そのもととなる株は季節が逆である南半球における直近の流行株をもとにワクチンを作成します。一昨年・昨年とも南半球でインフルエンザの流行がなかったため本邦でも流行はなかったのですが、今シーズンはオーストラリアで4月以降、流行がみられることから、日本ワクチン学会では、今シーズンのインフルエンザ予防接種を「強く推奨する」としています。

 すると最悪の場合、インフルエンザとCOVID-19の同時流行で今よりもさらに重症患者が続出して、大変なことになるのではないかという心配が高まると思います。この点について研究した論文をみますと、A型インフルエンザに罹ったハムスターにおいては1週間以上新型コロナウイルスの増幅が抑制されていたというデータが出ており、「インフル+コロナの同時感染は人類の脅威にはならない?」と推察しています。でも今の状況はCOVID-19流行下にインフルエンザが入ってくるという、「研究の逆パターン」ですので、同じ結果が成り立つと軽々と言えないかもしれません。

 インフルエンザのワクチンでもう一つ興味のある報告がありました。それは「インフルエンザワクチンの接種がアルツハイマー病予防の一助に?」という米国からの報告です。65歳以上の高齢者で4年のうちに1度でもインフルエンザの予防接種を受けた方は非接種者と比べ、アルツハイマー病の発症リスクを40%に減じたというものです。報告者も、「インフルエンザワクチン接種はアルツハイマー病発症の阻止を保障するものではない」というものの、「インフルエンザワクチンの重要性をさらに高めることになりそうだ」と話しています。

 今シーズンのインフルエンザワクチンも昨シーズン同様、初回出荷と2回目出荷との間に若干タイム・ラグがあるとの卸問屋さんからの情報もあります。タイム・ラグはありますが昨シーズン同等以上の供給量はあるようです。インフルエンザワクチンは不活化ワクチンですから、コロナワクチン以外のワクチンとは接種間隔制限はありません。但しコロナワクチンとはどちらが先と関係なく「中13日」の間隔をあけて接種するようにしてください(2022.8.1)。

※7.22の情報ではコロナワクチン~インフルエンザワクチンとの接種間隔の制限は撤廃され、同時接種でも構わないことになりました。





院長のcapricciosa(気まぐれ)
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