みなさま、こんにちは

 今年も4分の3が終わってしまいました。先月は暑いやら寒いやら気候が非常に不安定な1か月でした。そのような中、先月中旬には秋田県輩出の初の内閣総理大臣が誕生しました。ここ鹿角は菅総理の故郷の湯沢市とは秋田県といっても全く対極に位置するところではありますが、それでも非常に喜ばしいことには変わりありません。新型コロナウイルス感染症が未だ収束しきれていない現在、菅総理の前には多くの難局が控えておりますが、健康に留意して乗り切っていただきたいものです。

 さて新内閣誕生と同じころ、私たちが属している「日本産婦人科医会」から「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)についての実態調査」が発表されました。COVID-19の第1波がほぼ収まりつつあった2020年6月末までの段階における妊産婦さんの感染実態についての報告で、ニュースでご覧になった方もいらっしゃると思います。Yahooニュースの見出しだけ見て、「妊娠後期 コロナ症状重い傾向」と書かれていると、さぞかし不安になることと思われます。しかし変な言い方ですが、同じ不安になるのであれば「やみくもに」ではなく、「きちんと理解して」から「不安に対処する方法を実行すること」を考えていきましょう。

 著作権等の関係ですべてのデータは出すことができませんが、私たちには当然ニュースで発表されている以上のデータが来ています。まず今回解析されたのは本年6月末まで報告された72症例で、その間の分娩数から見るとCOVID-19の妊婦有病率は約0.02%でした。私は以前本稿で「かぜ症候群を含め、すべてのウイルス感染症は流産や早産のリスクを押し上げることは間違いありません」と書きましたが、流産例は4%と通常の自然流産率の10~15%よりも上回るものではありませんでした(早産率は17%で一般的な6%より高率でしたが、2例だけでしたので高率と言い切ることはできないと考えます)。また感染しても症状が出る妊婦さんと出ない妊婦さんもいますが、年齢が高い方と同様に、症状の出た妊婦さんには高血圧や糖尿病、また喘息といった背景疾患を持つものがある一方、無症状の妊婦さんには背景疾患を有する者はいませんでした。

 ニュースでは「CT検査で肺炎などと診断されたのは、妊娠28週までの初期と中期では10%だったのに対して、29週以降の後期では53%、酸素投与が必要だったのは、初期と中期では8%だったのに対して、後期では37%といずれも妊娠後期で高くなっていた」とありました。一方インフルエンザで心肺機能が悪化するのは産後と比較し妊娠初期では1.4倍、妊娠後期では4.7倍というデータがあります。単純に比較はできませんが、「COVID-19だから」と特別視する必要はないのではと考えます。また肺炎所見があれば当然酸素投与の必要性も上がりますので、それを反映した結果といえましょう。流行地からの旅行者で入国後すぐに発症した1例を除いて、全例後遺症なく生存で、出生した赤ちゃんへの感染もありませんでした。

 観察期間が延びると以上のデータも変わってくるかもしれませんが、問題にしたいのはその感染経路です。有症状-無症状に関わらず妊婦さんの感染経路は家庭内感染で共に57%であるため、家庭内での感染予防が非常に重要となります。「感冒様症状での⾃宅療養中の家族内感染の予防策:10カ条」を掲げましたが、その要点は①空間的隔離(部屋を分ける)、②時間的隔離(食事等の接触を避ける)、③物品の共有を避け細目な消毒、になります。これはCOVID-19だけでなく、インフルエンザなどの予防にも有効ですので、ぜひ実践してください。経験的に1シーズンの間に大きな感染性の熱性疾患が2つ以上流行することはまずありませんでした。でもCOVID-19はまだまだ不明点が多い感染症です。一つでもリスクを減らすために今シーズンにおいては、インフルエンザワクチンの接種を積極的に考えていただきたいと思います(2020.10.1)。

院長のcapricciosa(気まぐれ)
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