みなさん、こんにちは

 今年は若干桜が遅かったせいか、ゴールデンウィークの頃が丁度見頃でした。しかし新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)によるイレギュラーなGWだったため、桜を愛でる間もないまま散っていった感があります。加えて5月は「五月晴れ」という言葉があるくらい穏やかな晴天の日があるものですが、今年は例年にないくらい日照時間が短い5月だったということです。COVID-19も第一波が過ぎようとしています。季節も生活も徐々に輝きが増すことを願っています。

 マスコミをはじめとして現在もなおCOVID-19に関する話題で事欠きません。本格的に流行してから3か月は経過しておりますが、幸いにも妊婦さんが感染して重症化したという報告はほとんど聞かれませんし、インフルエンザと異なり子供たちにも大流行を認めておりません。比較的早期から休校措置などの対処をしたこともあるかもしれませんが、インフルエンザをいったこれまでの感染症と若干「毛色が異なる」様相を呈しております。それは症状においても同様で、呼吸器症状に加え、小児では皮疹・リンパ節の腫れ・血管病変をきたす「川崎病」と類似した症状を呈する例を認め、成人でも血管が目詰まりする「血栓症」の発症が報告されています。COVID-19が重症化すると体内で炎症関連物質が猛威を振う「サイトカイン・ストーム」という現象が生じ、それが血栓症の「引き金を引く」と考えられておりますが、まだほかにも解明されていない原因がありそうです。

 産婦人科の日常臨床で「血栓症」というと、ピルの副作用の一つとして挙げられます。ピルと血栓症については昨年10月の本稿でもお話ししましたように、非常に重大な副作用であることは確かなのですが、「深部静脈血栓症」という病態で見てみると、対象女性1万人のうち1年間に深部静脈血栓症になるリスクは健常女性で1~5人である一方、ピル服用者の血栓症のリスクは同じ条件で3~9人と言われております。ピルを服用してもリスクを上げるとは考え難いデータですが、「未知のウイルスによる血栓症の発症」という報道がなされると、当然ですがピルを服用される方々にはいろいろな不安が生じることは当然だと思われます。
「COVID-19が流行しているのにピルを服用していて大丈夫か?」「服薬を中止したらいいのではないか?」「ピルを飲み続けるのならば、PCR検査を受けたほうが良いのではないか?」という疑問も散見されております・・・では実際のところ、どうなのでしょうか?

 この問題について、実はすでに回答がWHOから発せられており、「全ての家族計画・避妊法はCOVID-19パンデミックに際し、安全に使用できる」となっております(https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/question-and-nswers-hub/q-a-detail/
contraception-family-planning-and-covid-19)。従いましてピルも前文の「全て」に含まれておりますので、COVID-19流行下でも休薬の必要はありません(ただ中等度以上のCOVID-19では、血栓症予防措置を講ずる必要があります)。むしろ服薬と休薬を頻繁に繰り返すことが血栓症のリスクを助長という報告もあります。コロナ血栓症を恐れるあまり、不規則な服薬になることがかえってリスクを増すことにもなりかねませんので注意が必要です。

 むしろこの時期、テレワークやステイ・ホームなどで家にこもりっきりになり、運動不足やそれに伴う体重増加などが、むしろ血栓症の呼び水になりかねません。家にずっといるからこそ、食事や運動に気を配り、また水分もこまめにとるように心掛ける必要があるでしょう。

 また上で述べたように非感染者や非発症者のピル服用は問題ないので、「コロナ血栓症を心配してPCR検査を受ける」ということも必要ありません。処理数は増加したといっても、COVID-19のPCR検査はインフルエンザのように簡便に行える検査ではありません。すべての病気に言えることですが、正しい知識を得ることは不安を軽減します。やみくもに恐れるのではなく、正しい知識を得て、それでも不安なことがあればかかりつけの先生にご相談されてください(2020.6.1)。


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院長のcapricciosa(気まぐれ)